ファミコンを振り返る – 光線銃

Game

光線銃シリーズ

タイトルワイルドガンマン
発売日1984年02月18日
販売元任天堂
価格3,800円

タイトルダックハント
発売日1984年04月21日
販売元任天堂
価格3,800円

タイトルホーガンズアレイ
発売日1984年06月12日
販売元任天堂
価格3,800円


任天堂がエレクトロニクス玩具や遊戯施設で培った技術をファミコン向けに応用したいわゆるガンコントローラとそのゲームシリーズ。光線銃対応ソフトは後年サードパーティからも出ているが、任天堂から発売されたのは「ワイルドガンマン」「ダックハント」「ホーガンズアレイ」の3作品。光線銃のセットには専用のホルスターも付属していた。

光線銃の仕組み

光線銃のトリガーを引くと、ゲーム画面がターゲットの位置を示す識別用画面に切り換わり、銃口のセンサーがこれを感知して命中判定を行ないます。識別用画面の表示は一瞬のため、人間の目には画面がチラつく程度にしか認識されません。ブラウン管の走査線技術を応用しているため、残念ながら液晶テレビなどでは動作しません。

ブラウン管とライトガン

ブラウン管は電子銃から発射される電子ビームがテレビ画面の左端から右端へ水平方向に移動することで1ラインを描き、これを画面上部から下部に到達するまで何度も繰り返すことで1枚の画像を作る。この1ラインを走査線と呼び、日本のアナログ放送では1画面を525本の走査線で表現し、これを1/60秒で描画する。

一般的には光線銃のような玩具をライトガンと呼ぶ。プレイヤーが引き金を引いて光を感知したとき、コンピュータは電子ビームがブラウン管上のどこを照らしているかを計算して、ライトガンが狙っている位置を求める。ゲームによっては引き金を引いた際のフレームだけを全体的に明るく表示するものもある。プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ、プロジェクタでは、走査は行わずに画面全体を一斉に書き換えるため、この方式は使えない。

光線銃の歴史

光線銃SP ガン

光線銃は元々銃を撃つと標的がリアクションする射撃玩具の光線銃SPシリーズが起源で、この玩具の仕組みとしては、トリガーを引くと銃口から光を発するのでこれを太陽電池をセンサー代わりに埋め込んだ標的に当てることで標的が稼働してリアクションするというものでした。額の的に当たると目が光って吠える壁掛けのライオンヘッドや、的に当たるとトランプが描かれたドラムが回転するポーカーなど、標的には幾つかの種類があり、販売した1970年には玩具の売り上げトップを記録する程の大ヒット商品となりました。
任天堂は光線銃SPシリーズの流れから1973年に業務用大型レジャー施設「レーザークレー射撃システム」を完成させます。京都にオープンした世界初の室内クレー射撃場には世界中から客が押し寄せ、当時ブームが去りつつあったボーリングに代わる娯楽としても脚光を浴びました。ところが、日本はこの年「第一次オイルショック」に見舞われます。人々の消費行動は慎重になり、客足は瞬く間に遠退きました。国内外から施設の注文キャンセルが相次ぎ、社運をかけて多額の先行投資を敢行していたことも相まって、任天堂はこれまでの失敗とは比べものにならない莫大な負債を抱えることになります。

ワイルドガンマン

アーケード版のワイルドガンマン
アーケード版のポスター

アーケード版のワイルドガンマンは1974年から稼働を開始しました。西部劇を題材としたもので、実写映像が流れる中、画面内で点滅があった瞬間に映像中の相手を撃つというものです。タイミングを逃すと相手に撃たれてしまいます。

ファミコン版では当然ながら実写映像など使えるはずもありませんから、全く異なる見た目でしたが、1対1の早打ち対決という意味では見た目は単なる演出の一部にすぎず、ゲーム性の本質はむしろガンコントローラにあったので、近い感覚で遊べたのかもしれません。また2人の敵を相手にするモードや、建物の窓や扉から次々と現れる悪漢を打ち倒していくモードなど、家庭用にアレンジされたモードも含まれていましたし、撃たれた敵は倒れるが、時にはパンツがずり落ちたり、帽子が飛んでハゲ頭が見えたりと、コミカルな演出になっています。

ファミコン版 ゲームA
ファミコン版 ゲームB
ファミコン版 ゲームC

ダックハント

光線銃ダックハント

1976年には標的の動作に工夫を加え、更に光源の強化により100メートル以上の射程距離を実現した光線銃カスタムシリーズが登場しましたが、光線銃SPシリーズのようなヒット作にはなりませんでした。さらに1977年にはファミコン版ダックハントの元となる光線銃ダックハントが発売されます。価格が9,800円と高額だったこともあり、やはりヒットには至りませんでした。この玩具はプロジェクタによって壁に投影されたカモを撃ち落とす射撃玩具で、ファミコン版とはまるで一致しない見た目でしたが、ワイルドガンマンとは逆に、当時の稚拙な仕組みのプロジェクタでは表現力に乏しく、ファミコン版の方がずっと洗練されたものでした。ファミコン版ではカモを撃ち落とす2つのゲームモードとクレー射撃を楽しむことができます。カモはコントローラで操作することが可能で二人で遊ぶこともできました。
海外版ファミコンであるNES本体とセット販売されたり、スーパーマリオブラザーズと1カートリッジになった製品が販売されたりしたため、売り上げ的にはビデオゲーム売上本数世界第5位を誇り、そうした海外人気に下支えされてかWii U版/3DS版の「大乱闘スマッシュブラザーズ」やNintendo Switch版の「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」にも関連キャラクタが登場しています。

ファミコン版 ゲームA
ファミコン版 ゲームB
ファミコン版 ゲームC

ホーガンズアレイ

ホーガンズアレイに移植元があったのかは不明ですが(アーケード版のワイルドガンマンと同時期に開発されていた可能性は捨てきれません)、ファミコン版の内容は米警察の射撃訓練を再現したとされるもので、次々と現れるパネルに描かれた中から悪漢だけを撃ち抜く、瞬時の判断力と正確性が試されるゲームになっています。前2作が難易度違いの2モードに、ゲーム性の異なる1モードで3種類のゲームモードを実装していたのに対して、本作では3モードともゲーム性の異なるモノを実装しています。

ファミコン版 ゲームA
ファミコン版 ゲームB
ファミコン版 ゲームC

シャープとの共同開発

光線銃玩具はシャープの技術協力の元で開発された。この開発をきっかけに任天堂はシャープとの関りを強いものとし、ゲーム&ウォッチやファミコン、ゲームボーイにスーパーファミコンなど、多くの商材で技術提供、共同開発を行なってきた。ファミコン開発責任者の上村雅之氏も、元はシャープの技術者だったところを光線銃SPの開発をきっかけに任天堂が引き抜かれている。

マイコンビューターテレビC1(1984年)
ファミコン内蔵のテレビ。正規の認証を受け、最も早く発売されたファミコン互換機でもある。独自コネクタ接続、独自デザインのコントローラが付属。14インチと19インチの2サイズ、本体カラーはゴールド、ホワイト、レッド(レッドは14インチのみ)の3色のモデルが存在した。内部ではファミコンとテレビをRGB接続しているため通常のファミコンより高画質で鮮明な映像を出力できる利点があるものの、カセットの認識判別に音声用の信号線を使っているため拡張音声を使ったゲームソフトは認識できないことや、形状の問題からディスクシステムを含む幾つかのゲームソフトが利用できない。オプションでファミリーベーシックと同等の機能を持つ「マイコンピュータキーボード」が存在する。

ツインファミコン(1986年)
ファミコンとディスクシステムが一体化した正規認証のファミコン互換機。レッドとブラックの2色のモデルが販売された。また、コントローラに連射機能が追加される形で前期型、後期型が存在する。本家ファミコンに比べ可愛らしいデザインになっている。ディスクシステムが内蔵なのでACアダプタが一つでよく、RAMアダプタの接続もいらない上、コンポジット出力にはNewファミコンに先んじて対応している。何より完全互換機であるため、基本的に本家との差異なくすべてのゲームを楽しめる。

ファミコンタイトラー(1989年)
本体にビデオタイトラー機能を内蔵したファミコン互換機。正規の認証製品。動画そのもののカット編集などができる訳ではなく、タイトルやテロップを入れることが可能な製品。コンポジット入出力、S端子入出力が可能。S端子出力のためPPUにはRP2C02の互換チップRC2C05-99が使用されている。マイコンピュータテレビC1で動かないソフトも動作するが、バブルボブルなど極一部のゲームで本来と異なる色合いで表示される不具合が発生する。

商標問題

ファミコンの商標は元々シャープが保有していた。これはシャープがグリルオーブンレンジとしてファミコンという名称の商品を販売していたことに由来する。商標権の影響が及ぶのはあくまで同一ないしは類似商品の範囲なので本来は家電機器とゲーム機とでは関係のない話だが、シャープは娯楽用具としての商標も1983年10月に出願していた。防衛策としての類似名称の登録や、異なる区分における同名商標の取得などは、商標登録においては極当たり前に行われていることであり、単に当該グリルオーブンレンジ販売戦略の一環でしかないものと推測できるが、実際のところはこの辺りの思惑は謎である。現在は娯楽用具としてのファミコンの商標は任天堂が保有している。

※ 動画はすべて Youtube からの引用です

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